今朝の新聞が、マサチュセッツ工科大学が発見した"小惑星1998SF36"に、日本のロケット開発の
父として知られる"故糸川英夫博士"にちなんだ「 ITOKAWA 」の名が付けられたと報じていた。
先生は晩年、信州の丸子町に住まわれていて、私が関係する、"異業種交流・開発協同組合"の講演会
や研究会にも気さくに応じて下さっていた。
ロケットのことはご自分から話されることはなかったが、未知なる分野への挑戦そして失敗、無理解
による多くの批判や非難のなかで、世界に遅れをとるまいとする科学者の使命感が成し遂げた国産
ロケット誕生の経緯は感動的ですらある。
研究会での、先生とのやりとりは多岐にわたり、失敗論、技術論、ビジネス論、立国論、果ては人類の
未来を見据えた地球論に及んだ。
ご自宅に招いていただき、奥様が作って下さったオニギリを頬張りながらの研究会は随分と楽しいもの
だった。ご病気のことがあって余りにも短いお付き合いであったが、多くの示唆を残して去っていった
科学者の静かな語り口を、今も懐かしく思い出すのである。
その後、"異業種交流・開発協同組合"はいくつもの開発製品を生み出している。
昭和45年2月、東京大学、ラムダL4S5ロケットによって日本初の人工衛星「おおすみ」
が誕生した。ソ連、米、仏に続く世界で4番目の人工衛星自力打ち上げ国となった。
(写真提供・宇宙科学研究所)