お山の大将 [さ る]

     (写真にマウスを持って行きますと説明が出ます)

お山の大将

「われ、須川の村を通らんとする時、
わが四つ車を停める者あり・・。
何者ぞと! つらつら眺むるに・・・・・、
お山の大将なるか、神の使者なるか、
げに澄ましたる”おん顔” いとおかし・・」

・カモシカがいた! 熊出没 注意! 猿が出た!・・
 などなど、 我々のことが巷の話題になっている。
 山の開発が進み、動物が棲めなくなったからだと言う
 御仁もおるが、とんだ見当違いというものである。
 かつて、人間たちは、我々が棲むすぐ近くまで上がって
 きて、畑を耕し、山仕事に精を出しておった。
 ・ 賢明な我々は、そんな人間たちに敬意を表して、その辺り一帯を人間の領分と認めて棲み分けていたのである、
   なんと奥ゆかしいことか。 ところがである。いつの頃からか人間たちの姿が見えなくなっていった。
 ・ 山の畑は、葛の葉や雑木が生い茂って 形すら分からなくなった。山は荒れ放題だ。
   遂に一度も人間を見たことがないという仲間まででてきた。
 ・ そんなわけで、1997年、高峰山で開いた"浅間連峰山岳鳥獣会議"で、我々の領分は天空から山裾まで。
   人間たちの領分はそれ以下と決め直した。これを"高峰鳥獣宣言"と呼んでいるが、まあ〜 自然の摂理に沿った
   順当な判断というべきであろう。
 ・ 時々、人家の近くまで人間たちの様子を窺いに行くのだが、棲息数の多さにはびっくりする。
   しばしば姿を見られてしまい、姦しい人間たちの恰好の話題になってしまうのである。
   この間などは、カメラを向ける人間がおったので思わずポーズをしてしまった。
 ・ ところで、最近、頭が赤茶毛の人間がいやに増えているが、ご存知か。 新しい種類の"類猿人"だとすれば
   新発見である。行動パターンもなかなかユニークで愛すべきものがある。
   フクロウ博士に報告してフィールド観察をさらに続けることにしよう。
 ・ それにしても、新たな領分は実に快適である。とにかく広い、食糧も十分ある。
   山の仲間たちも随分と数を増やした。 全て世はこともなし・・だ。 平穏である。  

                                                                 

 Topics 道祖神へ。
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