9月15日、恋ノ岐橋から恋ノ岐川を遡行しオホコ沢合流点で幕営する。
16日はオホコ沢を遡り約2時間で平ヶ岳登山道の鷹ノ巣尾根に着いた。ここで源流水を沸かし
美味しいお茶を飲んだり、登山支度の衣替えや雉撃ち等をしてしばらく休憩した後、平ヶ岳
登山口に向かって下山する。
見晴らしの良い尾根を下るうちに、登山道脇に写真の様な赤玉真珠を沢山着けた椚の木を見つける。
手にとって観察するが、クヌギの木はこんな実を付けない。なんとも不思議な実である。
帰宅した翌日、早速、林業試験場にE-Mailに写真を添付し問合せして見た。
すぐにメールでご返事を戴いた。
林業試験場から
「たぶん、虫のコブだと思います。ダニとかアブラムシ。ハチとかハエなどの。それらの昆虫が
卵を産み付けるときに一緒に植物などの一部組織のホルモンバランスを崩し異常発達させ、
それを卵や幼虫の巣や食料として利用しているものだと思います。
それ以外では、病気、なんらかの菌類に犯されている可能性もあります。
この実状のものを割ってみればなんなのか分かると思いますが、写真だけで同定は難しいです。
また、写真の樹種は、ナラ類でご承知かと存じますが、クヌギ、ナラ類などブナ科の樹木は、
このような赤い実は付けません。」
林業試験場へ
おはよう御座います。
お問合せ致しました件、早速教えていただき誠に有難う御座いました。
不思議に思っていた事が一つ解明できて感謝しています。
大宮岳稜会という山岳会に所属していまして、山によく登ります。
山では不思議な事に沢山出会いますが、解らずじまいになる事が多くあります。
厚かましいお願いで恐縮ですが、又何かありましたら教えて下さい。
ご自愛されご活躍下さい。 有難う御座いました。
後日、当山岳会の生物学者に聞いたところ、この虫コブの名前は[虫えい]という事でした。
※1年あまり経過した6月11日、図書館で[虫えい]に関する書物を目にし、調べた結果
クヌギハマルタマフシによる自然界の見事な造形物の一つと判明した。
クヌギハマルタマバチ(改称)Aphelonyx acutissimae Monzen(1953)によって葉の表裏両面
に作られる虫えいである。
この虫えいは6月上旬から出始め、9月下旬まで続く、幼虫は10月に蛹化し、11月に羽化、
成虫は12月から出現して花芽に産卵する。
分 布 : 本州・四国・九州・朝鮮半島。
寄主植物 : アベマキ(ブナ科)
異 名 : クヌギハウラタマフシ・クヌギハオモタテマフシ・アベマキアカタマフシ
マメ科植物の根に形成される「根瘤菌」も、根瘤バクテリヤによって空気中の窒素を
固定した菌えいである。