中村接骨院へ治療に行ったとき、中村さんが所属する劇団の公演があると聞きチケット
を購入した。中村さんがどんな顔でどんな声でどんな演劇をするのか、まったく想像出来
ない。その日は、6月6日午後4時から川口市の「蔵・浜田《というお店の蔵の中で上演
された。狭い蔵の中、劇団員と観客が一体なっての上演、こんなに近くだと目のやり場が
なく困った。中村さんの役は、新聞切り抜き専門の人、黒の礼服を着て中央の新聞の山の
中で、ただ黙々と新聞を切り抜いている。このまま劇が終わるのかなと思いきや、後半に
入って大きな声を張り上げ、表情豊かに演ずる姿は役者そのものである。こんな隠れた
才能があったのかと、接骨院や山登りの姿からは想像だに出来なかった。上演時間70分、
後半に入ってから上演者との一体感のなかで、ジーンと心に響くものを感じた。この劇団は
岳稜会会員谷口さんの奥さんが代表をしている。年1回の公演である。
2010年6月6日 撮 影・文 東 川
|