標高1266mの山で、奇岩奇峰が多く山襞が深いので朝の眺め
夕べの景色に変化があり、春夏秋冬常に変わった美しさを見せ
あたかも妙義山を思わせるものがあるので、「信州妙義」とも
いわれている。
その名称には「独鈷山」ほか「殿城山」「デッチョウ山」「鉄城山」
「峰小屋」などたくさんあったが、昭和になってから「独鈷山」
に統一された。独鈷とは、仏教で用いる金剛杵の先端が分か
れていないもので、大日如来の独一法界の智を標識したものだ
といわれている。
独鈷山は僧空海がこの山を霊場とされないのを惜しんで、山頂
へ独鈷を埋めて去られたのでこの名が起こったと伝えられている。
また、塩田城の詰めの城と考えられていて、頂上西側には馬場
の跡や寺屋敷というところが残されている。
歌人釈超空はこの山に登って次のような歌を残している。
「山の葉のよそぎの音と松蝉と聞き分き難し山に満ちつつ」