国際山岳連盟サミット山岳憲章2002
The UIAA Summit Charter 2002



掲示年月日   2002年6月6日

      2002年は国際山岳年です。国際山岳連盟がその時代の国際社会を反映する
      共通のテーマに年間を通して取り組んでいこうと定められました。
      岳稜会会員各位に置かれましても、この主旨を理解され、実践して下さる様
      お願いします。

   背 景

    1. 入山 環境と施設
       自然に癒されるために入山する自由は、全ての人々に保障されてしかる
       べきもので有るが故に、自然及び野生生物の保護・山小屋・駐車場などを
       正しく使用し、マナーとモラルの育成を期待する。

    2. 冒険 リスクと安全
       登山は冒険的活動である事を認識し、自分自身の行動・危険・事故等は
       自己の個人的責任とし、他人に迷惑や責任をかけない。

    3. 歴史と山岳文化
       探検・登山は500年の間、求め、楽しまれてきた。その間一つの歴史、文学、
       文化が生まれてきた。
       それらをきちんと整理し、後世のため、将来の山岳研究のため、重要な
       歴史的財産として尊重され保存される必要がある。

    4. 平等と公平な立場
       登山に於ける価値観を追及する人々の、平等性を支援する。
       姓・人種・民族・言語・宗教・信条・生活・心身障害等々、登山に置いて
       全ての差別は排除する。

    5. 卓越による進歩。
       登山活動は初登頂、初登攀など卓越と高度な技術を持って進歩してきた。
       将来に向けても未知への追求、困難なルートの開拓・未踏の初登攀など卓越
       した方達の進展を求め、登攀や山岳スキー大会のオリンピック種目への参入を
       望む。
       また一方、指導・訓練・装備・安全・そして山岳医療における進歩に努める
       事を怠ってはならない。

    6. 地域コミュニケーションと経済的効果
       山岳地帯に住む人々の、訪れる登山者への施設を提供やサービス提供を受けた
       登山者は、公正な対価の経済的負担をしなければならない。
       提供者のサービスと登山者の負担による経済的効果が持続的にバランスが保たれ
       営まれていく事に、相互の利益・発展を見る事が出来る。

    7. 社会学・教育学の学習
       登山行為は、自然環境保護ばかりでなく、冒険・挑戦・探検等を通し、個人的
       責任感を向上させ、チームワークとしてリーダーシップ・メンバーシップの教育学
       社会学を学び、自然を尊重し生命の尊さを知り得、自己啓発を学習する。

    8. 精神そしてビジョン
       山はしばしば神の住む神聖な場所として、作家や芸術家・音楽家達にも想像の念を
       与えてきた。
       高い山、厳しい山にはビジョン的な精神が与えられ、生き生きとした強い力が
       湧いてくる。登山が生じる精神は生涯につながる。

    9. 戦争によるダメージ
       残念な事に山岳地域のなかには、紛争の原因になったり、ダメージを受けた地域が
       ある。2002年国際山岳年を機に、この問題に目をつぶるべきでない。
       各国の国際社会からの提唱などにより回復、紛争の解決に努力くしていかなくては
       ならない。

   10. 青少年の期待
       多くの青年は、自由な登山・岩登り・冒険・探検にひきつけられる。
       安全に登山を楽しみ、自然環境を大切にするための連盟、協会、クラブの指導や
       援助を必要としている若い登山者達は、文化遺産・歴史を学ぶ中に登山の価値や
       自然保護の重要性を理解する事であろう。
       この持続・継続こそ登山の発展と言えよう。
                                        以 上


= 山  岳  憲  章 =

     国際山岳連盟(UIAA)・アジア山岳連盟(UAAA)・日本山岳連盟(JMA)と
     約90各国際山岳連盟に加盟する250万人の登山愛好家は、「国際山岳年2002」国連提案を
     理解・協調・実践・参画・貢献していく事を宣言する。

   ☆ 世界中の山岳地域での生活の基盤となる自然環境保護の重要性、及び生活の基盤となる
     地域コミュニテイの発展の重要性を認識し、この二つが関連しあって持続的に発展させて
     いく事に寄与する。

   ☆ 全ての登山家、自然愛好家は、自由に楽しく登山する事が出来るが、自然環境保護、安全対策、
     は自らの責任に於いて、対応していかなければならない。

   ☆ 登山はスポーツとして人間の精神や、社会性を高めてくれるが、登山と自然保護・環境保全
     とは共存していかなければならない。

   ☆ 国際山岳連盟(UIAA)は、この国際山岳年に対し、登山、環境、安全、医学、訓練、開発
     に関して長年の経験や体験から得た資料を提供し、活用していく。

   ☆ 自然環境や野生生物並びに生態系の保護の重要性を深く認識し、将来の世代に豊で健康な
     自然環境を継続していく事に努める。

   ☆ 正しく登山と自然環境が共存できるプログラムなどを組み、青少年への環境教育の充実を図り、
     それらを実践に結び付けていく。
                                           以 上

= 私 達 登 山 家 は =

    ☆ 山の自然環境と、山岳地帯で生活する人々の文化の重要性を認識し、それらを保全、
      持続的に広く知らしめながら発展させていく。
    ☆ 山岳地域の自然環境を自らの責任に於いて守りながら、自由に登山を楽しむ。
    ☆ 自然環境や、そこに住む野生生物の大切さを認識し、それらを保護する事に努める。
    ☆ 登山の経験から、人間の精神と向上心が養われ、人間的、社会的な価値の高い
      スポーツである事を確信したい。
    ☆ それぞれが自然環境についての知識、マナー、モラルの向上に基づいて責任を
      果たして行く。
    ☆ 山岳地域の人々が提供するサービス、施設等に対し公正で適切な対価を支払う事で
      経済的効果を生じ、観光及び地域の発展に持続的、還元的な貢献をする。
    ☆ 山岳地域に住む人々の文化、文化遺産、伝統を尊重し敬意を表する。
    ☆ 自然災害としての事故や、損害の回復に心がけ、他人に責任を問うべき事を避けたい。
    以上の考え方を理解し、平等かつ公平で、効果的な計画、実践を進める。
             


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